デジタルネイティブ
私が初めてパソコンに触れたのは高校生の時だった。必死になってバイトをし、稼いだ25万円を当時最先端であったNEC製PC-98NXに全額ぶっ込んだ。かつて一世を風靡した「PC-98」シリーズがPC-AT互換機である「PC-98NX」シリーズへと変遷していった時代である。皆さんはご存じであろうか、「バザールでござーる」を。
私が必死こいてパソコンを手に入れたのには強烈な理由があった。そう、エロゲーである。今でこそ当たり前であるインターネットも当時は限られたマニアの間でしか利用されていなかった。当時のエロといえばレンタルビデオ屋のピンクコーナーで借りるか又は友人から回ってくるアダルトビデオ(裏表問わず)、最悪は河川敷に落ちているグチャグチャのエロ本ぐらいなものである。皆さんはご存じだろうか、「デラべっぴん」を。そんな時代に迎えた青春であった。10代の青年達にとってエロゲーはまさに神とも呼べる存在だったのである。
インターネットというやつをやると無修正のエロが見られるらしい。そんな噂を耳にした。私が購入したPC-98NXにはモデム(インターネット接続に必須の周辺機器)が付いていたため、即インターネット接続にもチャレンジした。雑誌の付録に付いていたCDロムを使い接続を試みる。私は今でも忘れない。「AOLへようこそ!」のあの文字を。
さて、あの頃の話はさておき、こうして私は10代の頃からパソコンやチャット、携帯電話のiモード、eメール、ネット掲示板、Mixiなどのデジタルサービスに親しんできたのである。
一方、私の二人の娘達は平成生まれインターネット育ち、持ってるやつはスマホかタブレット、持ってるやつと大体同じ、赤子の頃から見てきたYouTubeやアニメ動画。いわゆるデジタルネイティブ世代である。また現代人らしくアニメ等のヲタク方面にも強い嗜好性を持っている。二人ともiPadで絵を描き、スマホで音ゲーをし、Netflixでアニメを鑑賞し、友達とはLINEで連絡を取り合う。
下の子供はまだ小学6年生であるため、スマホアプリのインストールにはペアレンタルコントロールがかけてある。子供が自分のスマホから承認を依頼し、私がそれをスマホで受け取りネット上で許可をする形式だ。だが、その承認依頼がうまく通らない。私も調べたが、原因は不明であった。
しばらくは立ち会いで承認をしていたが、さすがに面倒くさくなったのか、娘が自らネットで情報を得て、解決策を提示してきた。
「パパ、OSを最新にアプデして」
「お、おう」OSアプデポチー
「そしたら承認の所、オンオフ」
「う、うん、これかな?」
「じゃあリク送るから」
「は、はい」
「行った?」
「き、きました」承認ポチー
「・・・ふーん」(ご満悦)
情報収集力優秀である。
デジタルに浸り育った彼女たちは、こうしてデジタルな青春を送り、デジタルを仕事にし、そしてデジタルな人生を歩んでいくのだろう。だが、この子達にはどうかスマホの画面越しには見えない多くの事をその身で学んで欲しいと私は願っている。長い人生、時として草むらに落ちている薄汚いビニ本でさえ光輝いて見える事もあるのだ。
ちなみに娘が入れたアプリは「棒人間アニメメーカー」とかいうやつだった。お父さんにはよく分からんが、まぁ、今のところ君が健全でよかったと思うよ。
帰宅、二択。
年末から年始にかけ我が家では水難が続いている。キッチンの蛇口、洗濯機の蛇口、トイレ、洗面台と続いた。とはいえいずれも軽い水漏れ程度なので大事故にはならない。
トイレは私が自分で調整修理し、キッチンと洗濯機の蛇口はマンションの管理会社の人に即日対応して貰い直った。問題は洗面台である。
洗面台の故障は、正確に言うと洗面ボウルの破損による下部から水漏れである。洗面ボウルは陶器で出来ており、なにかしらが落下した衝撃で割れ微少な穴が空いてしまったようだ。
とある日の夜、私はこの洗面台の破損に気付いた。が、妻にはなにも言わず見て見ぬ振りをした。なぜなら、妻に報告すれば確定で私のせいにされるのが目に見えていたからである。恐らくは娘がドライヤーかなにかを落として破損させたのだろう・・・。ともあれ原因は不明であった。
その翌日、仕事を終え帰宅すると妻が激高していた。ちなみに平時において私が帰宅した際の妻は二分の一の確立で苛々している。だが今日のそれは普段よりも具合が悪いと私は感じた。
「ねえ!夫ちゃん!あなた洗面台割ったでしょう!!?」
はいはい来ました、やっぱりな、糞が、と思いながらも私は冷静に返答した。
「ああ、割れてるよね。昨日気付いたけどあれは俺のせいじゃあないよ」
「じゃあなんなの!誰がやったの!!」
「いや、それは分からないけど・・・」
「とにかく!水が漏れてんのよ!!!」
洗面台を見ると、洗面台にXの形で養生テープが貼られており、使用できなくなっている。妻がそうしたようだ。
「下からみずがポタポタもれdhqwりうとぇtろいほぎゃくあああぱぱぱ!!!」
あーこいつ発狂してんわ、と思いながら洗面ボウルの下を確認すると、確かに微小な穴が空いており、そこから水漏れが確認できた。
「あたしせっかく今日パート休みだったのに!!管理会社に電話して疲れた!!電話すごく苦手なのに!!!休まらない!!!ぎゃおおおんん!!!!」
私としては仕事から帰った直後だし一刻も早く荷物を置いて着替えたがったが、しかし今はとにかく発狂した妻を落ち着かせる必要がある。
「でもね、早めに気付いてよかったよね。これぐらいの穴なら自分で塞げそうだし」
「あ゛!??自分で塞ぐ???何言ってんの???」
「え?いや、あの、とりあえずさ、洗面台使えるようにしないと不便じゃない?」
「あたしは今日管理会社に電話したの!!!交換して貰えるように言ったの!!!」
「う、うん・・。ありがとうね。でもs」
「でももクソもない!!あたしは疲れたの!!!あたしが(電話して)やったの!!!」
「・・・・・うん」
「それを勝手に塞ごうとかしないで!!!!」
「え?あ?なんで?」
「だから休みなのにあたしが全部連絡とかしたのよぉぉぇええおえ!?!?!?!」
「じゃあ手洗いとか歯磨きとかどうすんの?」
「キッチンでやって!!!!!」
「は?マジで言ってんの?不便じゃん?」
「きぇぇぇいえぇいぇえじぇえぇいぴおいいぇりうぇ!?!?!??!?!」
今回の発狂モードはかなり手強い。今思えばここで引き下がればよかった。だが、ついカッとなった私はこのとき明らかなる悪手を選択してしまったのだ。もはやどちらが正解か知り尽くしているはずの簡単な二択を、私は外してしまった。
「ああもう!とにかくさ!洗面台交換して貰えるつっても今日明日って訳にもいかなーし穴埋めるぐらい簡単だから!修理するから!いいね!?」
「あたs-がーぁぁやったのぉぉぉぉ・・・・・?!??!?!?!」(号泣)
こうなるともう何を言っても駄目。私は妻を諦め自室に戻り「陶器補修パテ」について調べ始めた。そんな私に着いてくる妻。
「やめて!!!勝手に調べないで!!!」
「うるせぇな!いいじゃんよ!直さないと不便なんだよ!」
「本当にやめて!!!じゃないと離婚する!!!」(※妻は割と簡単に離婚を口にするタイプの女です)
「・・・わかった。じゃあもう妻ちゃんの好きにしろよ!俺はなにもやんないから!」
「あたしはぁぁ・・あたしは疲れてるの!!!ああああああ!!!!!!」
全く話にならないのでその日は以降妻とは一切口をきかずそれぞれ別室で寝た。
翌日も妻と話をする気がせず、一日中お互い一言も喋らず過ごした。
しばらく険悪なムードが続いたある日、日中に妻からLINEが送られてきた。
妻ライン『賃貸の洗面台が割れたらどうしたらいいの?(ネット記事のリンク)』
妻ライン「洗面台がいつ使えるようになるかわからないから応急処置する」
妻ライン『陶器製品の補修に ボンド(アマゾンのリンク)』
妻ライン「これが使えるらしい」
妻ライン「俺の言った通りじゃないか!とかは言わないように」
こいつマジか・・・。だが私は大人の対応を見せた。
俺ライン「わかったよ、これあったら仕事の帰りに買ってくるね!」
妻ライン「4649(スタンプ)」
帰宅後私はさっそく補修パテで洗面台を修理した。2~3時間の乾燥後、水を流し漏れが無いことを確認。
「直ったよ。これでしばらくは大丈夫なはず」
「えへへ、便利になった!」
えへへじゃねぇよコノヤロー馬鹿がクソ○ねと思ったが、しかしうれしそうな妻の顔を見ると私も何も言えなくなった。
「あたしさ~、夫ちゃんがキッチンで歯磨きするの見てて嫌だったんだよね~!」
「・・・・・。」(マジでなんも言えねぇ)
夫婦円満の秘訣は「俺の意見より嫁の機嫌」である。その択を間違えると今回のようにどうでもいい事柄で損をすることになる。それも夫側が一方的にだ。
もしもチェンソーマンに『妻の悪魔』がいたら俺はそれが一番怖ぇな、とか思いながら復活した洗面台で穏やかに歯磨きをする私なのであった。
俺の嫁について
まず私の嫁について簡単に紹介します。
大体こんな感じです。
容姿は、、、夫たるもの自分の妻に対しては常に「かわいい」と言わなければなりません(学習しました)
このように大変お茶目な妻ですが、私がこんな画像をブログにアップしてるのがバレたらまじで○されます。(このブログは妻には内緒で書いています。)
ここでは我が愛妻の動向・奇行・愚行などを個人的な観察日記として綴っていきたいと思います。(マジで絶対にばれるわけにはいかない、、、)
今後とも宜しくお願い致します。